波立つ大海を漂う泡沫は、限りなく脆くて繊細だ。
そんな一見つかみにくいモノたちに、心の底ふかくまでふうわりと包まれる瞬間がある。
それゆえ私たちは、自らを主張しないそれらを、濁りない心で、すっとすくい取れるような存在でありたいと、つねづね思う。
合理の名のもとに、とことんまで数値化され、エゴやリクツがまとわりついた人工物にあふれる世界は、
なんだか仮初めで、無味乾燥で味気ない。
だからこそ、温度のこもったモノに、囲まれ暮らす心地よさを共につくり、分かちあいたい。
自らの感性と情緒で品性の詰まったモノを選び、永く愛おしむ人が増えたら、
渇しつつある世界も、ほんのりと色づいていくだろうに…
その足掛かりをつくりたい。
そんな想いから、この小さな狼煙はあがった。
北山 浩
代表・発起
神奈川県で生まれ育つ。大学院修了後、総合電機メーカーの研究開発、家電メーカーでの商品企画に携わる。
大きな組織での理想のモノづくりの難しさを実感する中で、次世代に続く本質的な仕事をしたいという想いと、魔法瓶好きが高じ、2022年にCOCOO を創業。
日本の工業・工芸のモノづくりにおける新たなビジネスモデルの開発に注力している。趣味はアンティーク家具、雑貨収集、ジャズ鑑賞。
Hiroshi Kitayama
Founder / Representative
Born and raised in Kanagawa. After graduating from graduate school, he has experience in research and development at a general electronics company and product planning at a consumer electronics company. Realizing that his ideal manufacturing would be difficult in a large organization, he founded COCOO in 2022 because of his desire to do essential work that will continue the next generation and his love for thermos bottles. He is focused on developing new business models for Japanese industrial and craft manufacturing. He likes antique furniture, collecting miscellaneous goods, and listening to jazz.
＜北山 浩＞
やっぱり、ものづくりが好きだ。
ものに込められた技術も好き。
ただ一方で、
半世紀以上生きてきて、そろそろ物欲から卒業しようかとも思う、ちょっと微妙な年ごろなのかも知れない。
だからこそ、心地よく、気のいいものづくりにトライしたくなった。作り手も使い手も、心地よくなれば いいなってこと。
そうすると、自然とセオリーの逆になった。
まずゴールがあいまい。
人や現場と出会う度に感情が動いて、企画が変わる。非合理的ではあるけど、でもそれが心地よかったりするのだ。
こうした贅沢なものづくりができるのも、先人の方々の優れた発想と凄まじい努力があってのこと。
漆にしても、魔法瓶にしても、こんな普遍的なすごい技術、いったいどうやって辿り着いたんだ？
COCOOのものづくりは感情的で、属人的。
関係してくれる人の気持ちだけでなんとか成り立ってる。
それがキャラで、そのうち財産になればと思っている。
前田 愛花
共同発起人
大阪生まれ、神戸育ち。大学在学中に外資系ホテルの開業メンバーとしてアルバイト入社したことからキャリアがスタート。ホテルマン、役員秘書を経て、マーケターのキャリアを追求。テーマパーク運営会社にて、デジタルを駆使したコミュニケーション設計やソーシャルメディアの新規事業に奮闘する傍ら、より永続的で愛のある経済活動を切望していた。母の故郷である岩手県二戸市の漆職人の後継者不足の実態を知ったことが、COCOO立ち上げのきっかけに。趣味はホテル巡りと漆にまつわること。
Aika Maeda
Co-Founder
Born in Osaka and raised in Kobe. Her career began when joined as a member of the opening of a luxury hotel while in college. After working as a hotelier and executive secretary, she pursued a career as a digital marketer. While struggling with digital communication design and the launch of a new business, she longed for more lasting and loving economic activity. She learned about the lack of successors at Urushi artisans in her mother’s hometown of Ninohe in Iwate prefecture, and that will eventually lead to co-founding COCOO. She likes visiting hotels, and everything related to Urushi.
＜前田 愛花＞
目の前にあるうつわが、ただのモノにすぎないのに、いきいきと語りかけてくる。そんなうつわと暮らす心地よさを、私は知っている。
母の馴染みの漆屋でつくられた漆器は、明るい赤色なのにどんな料理も一切邪魔をせず、どれだけ使っても飽きがこない不思議なうつわだ。多少キズやシミができたとしても、それはそれで愛らしい。
漆や工芸なんて、生きていくためには必要じゃないかもしれない。だけれども、そういった類のモノこそが、人生にとって “なくてはならないモノ” だったりするのではなかろうか。
COCOOは、ものづくりのあり方や “心地よさ” という概念を、互いの立場を超えて考えていく、ささやかな思想実験場でもある。誰かが確かな答えを持っているわけでもないし、われわれ自身も大それたことができるわけでもないが、それはそれでいい。なぜなら、小さくても豊かな循環こそが大切だから。
無理なく手の届く範囲で、COCOOなりに心地いいと信じるものを、届けていきたい。
